section 3-4

section 3 「痣黒子」
四
もうすぐゴールデンウィークだ、という頃にそれは突然始まった。
この頃には、授業の合間の休み時間になると、明日香の席には潤子がやってきて、桐谷の席には桐谷の幼 ...
section 3-3

section 3 「痣黒子」
三
明日香は、バイトで遅く帰ってきた今日佳を玄関まで出迎えに行った。
「おかえり、お姉ちゃん。」
夜だから静かに言ったのか、元気が今ひとつ出ないか ...
section 3-2

section 3 「痣黒子」
二
横から見る顔の輪郭や、鼻梁線は可愛らしい顔立ちのそれで、その白目の大きい瞳と、これ以上は何も語らないとでも決心したかのように結んだ唇が、無愛想というより、想像するに難くな ...
section 3-1

section 3 「痣黒子」
一
すぐに普通の授業は始まるようになって、明日香たちのクラス担任が教科担任も務める、最初の国語の授業時間も来た。国語の教科書は大体何かお題となる散文などがあって、その最後のペ ...
section 2-3

section 2 「クラス替え」
三
明日香に声を掛けてきた、眼鏡をかけたお下げで背の高い女子は、桐谷聡美と言った。「きりや」と読むのか「きりたに」と読むのかわからなかったが、彼女は自ら「きりや」と読むこ ...
section 2-2

section 2 「クラス替え」
二
新一年生の入学式が終わるまでは、とりあえずということで、出席番号順の席順だったが、新二年生には席替えの時間が入学式の後に特別に設けられていて、くじ引きで正規の席順が決 ...
section 2-1

section 2 「クラス替え」
一
明日香が通う公立中学校では、クラス替えは一年から二年へ進級する時、一度だけ行われ、二年から三年への進級時には行われない。これは、卒業後の進路を決めるという、少年少女の ...
section 1-4

section 1 「茶髪と癖毛」
四
「あ、明日香…。」
潤子は明日香の顔を見るなり、辛そうな、すまなそうな、何か明日香と口もきかないくらいの喧嘩をして、それを謝りに来たかのような、泣きそう ...
section 1-3

section 1 「茶髪と癖毛」
三
結局、謝罪することになったのは、明日香だった。翌日、体のあちこちがまだ少し痛むものの、足を引きずって歩く必要もなくなっていたので、普通に登校すると、朝会の後、明日香の ...
section 1-2

section 1 「茶髪と癖毛」
二
「おい、お前!」
そう低く唸るような、食物連鎖の頂点に立つ猛獣の咆哮と言って良い声を出しながら、両手をジャージのパンツのポケットに突っ込んだまま、どすど ...