00-01(と、読み方)
この作品の最初はこちらの投稿です。こちらの「記事を読む」をクリックしていただき、本投稿をお読みいただいた後、右下に出ている(おそらく)「Next」をクリックしていただくと、順番に本作品を読むことが出来ます。(2022-01-03 記)
※本作品はフィクションであり、実際の人物、団体などとは関係がありません。
※ tumblrから移転時の字下げエラー、全て直し終わりました。(2022-02-13 記)
※ tumblrから移転時の字下げのエラー、だいぶ直しました。後少し・・・(2022-02-01 記)
※ tumblrから移転時の字下げのエラーを未だ直せてません・・・(2022-01-10 記)
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早く帰ることが出来れば出来たで帰宅ラッシュに巻き込まれる。出勤時の上り電車は、ベルトコンベアーのようにコンテナを満杯にして、次から次へと人を運んで行くが、どうして同じ程度の人間が下るというのに、帰宅時は電車の間隔が空くのか都はいつも疑問だった。やっと来た下り電車に乗ると、一日の仕事が終わって緊張が緩むことにより、姿勢の崩れや身だしなみの乱れなどが発生するから、誰もが一人一人のパーソナルスペースを広げる。なので車内は狭苦しく、暑苦しい。出勤時は一駅でも遅く着けばいいのにと思っていても、あっという間に目的駅だが、帰りは一駅でも早く着かないかと思っているのに、なかなか自宅の最寄駅には着きやしない。
同じ満員電車から押し出された時でも、出勤時のそれは、一つの圧迫感から次の圧迫感へと移動するに過ぎないのだが、帰りの満員電車から降りた時の開放感は、一日が終わったのだという安堵と完結感がある。駅構内が帰宅ラッシュで混んでいてもその開放感はある。しかし一日は未だ終わっていないのだ。どちらかといえば、これからがやっと自分の一日だ。
1時間程度残業をして退社すれば、部屋へ帰ってきた時にはもう時計は20時半近くになっている。疲れたあ、と言ってぼおっとしているとあっという間に夜中になる。手を洗ってうがいをしたら、さっさと着ているものは全部脱いでしまって、薬缶に火をかけながら冷蔵庫を物色する。都の部屋はダイニングキッチンと寝室とが繋がっている広い部屋だが、ものはほとんどないしテレビもつけていないので、ガスの音や野菜を洗ったり刻んだりする音が少し響く。上の住人が帰ってくれば椅子を動かす音や何かを落としたような音が上から聞こえてくることがあるけれど、それ以外はさして神経質になるような雑音もない。