02-02

02-02
昨日岸谷からスケジューラーが送られてきた、例の新しい案件についてのミーティング開始まではあと30分くらいなので、コーヒーを飲みながら別件のために作成したLAN切り替え用のコンフィグをチェックしようと都は思った。すでにコンフィグはプリントアウトしてある。自席へ戻ってカップの蓋の飲み口を開け、机の上に伏せておいたコンフィグの打ち出しをひっくり返し、最初から眺めながらコーヒーを一口すすった。
コンフィグはもちろんPC上でもチェックはする。インバウンド制御やアウトバウンド制御をルーティングの部分に当てている場合など、制御を定義している箇所とルーティングを定義している箇所とできちんと同じ名前になっているかどうかのチェックは、スプレッドシートの検索機能を使った方が正確にできる。しかし液晶ドットの影響なのか細かい文字や数字はよく見えているようで見えていないことがあり、プリントアウトしたものをチェックして初めて気がつくスペルミスのような間違いもある。都はコンフィグ作成の時、簡易な設定変更の場合を除いて必ずこの二重チェックをしていた。過去にPC上でのチェックしかせず、微妙なスペルの違いを見落として大変なことになった経験もあってそうしていた。
紙にプリントしたコンフィグをチェックしていると、制御に内包された合致条件の名前の綴りが、合致条件そのものの定義部分の名前と1文字だけ違っているのに気がついた。このままだと数十行に渡るその合致条件定義は、結果どれが合致していようがしていまいがどうでもいいことになってしまうので、ひゃあ、と声を上げそうになった。こう言う間違いを見つけると紙媒体は偉大だなと思う。
コンフィグを1行づつチェックして、チェックした行にシャープペンシルでチェックをつける。何か間違いを発見したらそこを囲んで矢印を余白へ引っ張り、そこに正しいものを書く。些細な間違いでも紙に書き留めてからスプレッドシートに反映するようにする。この手順を守っていないと、紙に何の書き込みもなしにスプレッドシートだけ修正していたと言う場合は良いのだが、紙だけ修正してスプレッドシートを修正した気になってしまった場合にえらいことになる。
間違っていたところの修正をスプレッドシートに反映して保存し、共有フォルダにアップロードし終わると、ポップアップが岸谷と下山とのミーティングが始まる時間になったことを知らせてきた。コンフィグのチェックに夢中になり過ぎて、コーヒーを最初に一口飲んで以来口にしておらず、すっかり冷めてしまっていた。冷めたことを残念に思いながらも、ごくこくと水を飲むようにコーヒーで喉を潤した。このコンフィグチェックは時間のお尻を決めてやっていたので少し慌てたかもしれない。大きい間違いもあったし、日を変えてもう一回チェックした方が良さそうだった。PCのスクリーンロックをショートカットでかけ、袖机からノートを取り出しシャープペンシルと一緒に持って席を立った。